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AWS WAFで直リンクをブロックする方法

2024年5月14日

あるサイトで別サイトからの直リンクをブロックしたいと思い、AWS WAFを使用して設定した。直リンクされる側にメリットはないため、もし直リンクされたくない人がいたら参考にしてほしい。

「サボチン」です。AWSパートナー企業でエンジニアとして働いています。
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直リンク(ホットリンク)とは

一言でいうと、他のサイト上のファイル、特に画像を、そのソースURLを直接指定して別のウェブページ上で表示する方法のこと。ホットリンク、ホットリンキングともいう(が、本記事では直リンクとする)。直リンクを使用すると、表示しているサイトではなく元のサーバーに負荷がかかることになる。とは言っても、あまりイメージが浮かばないと思うため設定方法の紹介の前に少し説明する。

直リンクのやり方

このサイト(https://thaimai.tech/)に「image.png」という画像ファイルがあるとする。

その「image.png」を「太郎くんのウエブサイト」で表示させる場合、「太郎くんのウエブサイト」のhtmlにて<img src="https://thaimai.tech/image.png" />のようにタグを記述する。これにより、「太郎くんのウエブサイト」にてhttps://thaimai.tech/imageと同じ画像が表示される。

だが、この画像はこのサイトのサーバーから直接読み込まれることになり、少しではあるがサーバーに負荷がかかることになる。

直リンクされることの問題点

まず、あまり気持ちの良いものではない。あなたの家に水道があるとして、他の人があなたの許可なくその水を使って、自分の家の庭を水やりするようなものだ。

精神的な話は置いて、やはり元のサーバーには負荷がかかることが大きいと思う。数回の表示であれば問題ないが、多数のリクエストがあった場合、サーバーのパフォーマンスが低下する可能性がある。

その他に、Amazon EC2などを使用している場合は他のサイトへのデータ転送が発生し、意図しない料金が発生することとなる。

直リンクをブロックするためのWAFの設定

それではどのようにAWS WAFで直リンクをブロックするのか説明していく。

設定内容

以下条件を満たすときにブロックするよう設定する。

  • HTTP ヘッダーのRefererが指定したFQDN(URL)以外からのもの
  • リクエストURIにjpg / png / pdfが含まれる(他に指定したいファイルがあれば対応可能)

正規表現パターンセットを作成

以下が正規表現パターンセットを作成する手順。

  1. AWS マネジメントコンソールにサインインし、WAFコンソールを開く
  2. [Regex pattern sets]を選択し、[Create regex pattern set]を選択
  3. 正規表現パターンセットの名前と説明を入力
  4. [リージョン]でCloudFrontか指定リージョンを選択
  5. [Regular expressions]に正規表現パターンを入力

https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/waf/latest/developerguide/waf-regex-pattern-set-creating.html

FQDN(URL)を指定

ここでは、あなたのサイトをthaimai.tech というサイトと想定して設定する。下記の場合、www.thaimai.techsubdomain.thaimai.techなども対象となる。

^.*(thaimai\\.tech).*$

ファイルを指定

下記設定の場合、jpgpngpdfが対象となる。(他に指定したいファイルがあれば対応可能)

^.*(jpg|png|pdf)$

Web ACLsを作成

以下がWeb ACLsを作成する手順

  1. AWS マネジメントコンソールにサインインし、WAFコンソールを開く
  2.  [Web ACLs]を選択し、[Create web ACL] を選択
  3. [リソースタイプ] で[Amazon CloudFront distributions]か[Regional resources]を選択
  4. [Region]で利用するリージョンを選択
  5. [Name] で作成する Web ACLsの名前を入力
  6. [Rules][Add rules]を選択し、[Add my own rule groups]を選択
  7. [Rule type][Rule builder]を選択
  8. [Name]を入力し、[Type]Regular ruleを選択

Rule builderを作成

以下のとおり設定することで、「"指定したURLからのアクセスでない" かつ "指定したファイル形式" 」へのアクセスがブロックされる。

[If a request]はmathes all the statements(AND)を選択。[Action]Blockを選択。

設定後、[Add rule]を選択するとルールが作成される。

ルール1
設定項目設定値
Negate statement resultsチェック
InspectSingle header
Header field nameReferer
Match typeMatches pattern fron regex pattern set
Regex pattern set作成した正規表現パターン(fqdn)
Text transformationNone
ルール2
設定項目設定値
Negate statement resultsチェック
InspectURI path
Header field nameReferer
Match typeMatches pattern fron regex pattern set
Regex pattern set作成した正規表現パターン(file)
Text transformationNone

https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/waf/latest/developerguide/web-acl-creating.html

AWSリソースへの関連付け

AWS WAFのルールを作成するだけでは機能しないため、AWSリソースに関連付ける必要がある。関連付けられるリソースは以下。

  • Amazon API Gateway REST API
  • Application Load Balancer
  • AWS AppSync GraphQL API
  • Amazon Cognito user pool
  • AWS App Runner service
  • AWS Verified Access instance
  • Amazon CloudFront distribution

関連付ける方法

  1. AWS マネジメントコンソールにサインインし、WAFコンソールを開く
  2. [Web ACLs] (ウェブ ACL) を選択
  3. [ AWS 関連リソース] タブで [ AWS リソースの追加]を選択
  4. 関連付けるリソースを選択し、[Add] を選択

制限事項

  • AWS 各リソースは 1 つのウェブ ACL にのみ関連付けることができる。
  • ウェブ ACL は 1 CloudFront つ以上のディストリビューションに関連付けることができる。 CloudFront ディストリビューションに関連付けたウェブ ACL AWS を他のリソースタイプに関連付けることはできない。

https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/waf/latest/developerguide/web-acl-associating-aws-resource.html

確認

別のサイトのhtmlファイルにて<img src="https://thaimai.tech/image.png" alt="img"/>のようにタグを記述し、そのサイトへアクセスしてみる。

すると、画像は表示されず alt で設定した img という文字が表示される。これで直リンクのブロックは成功だ。

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